(84)そして、最後の名文 新大陸アメリカ
そして、第1章の冒頭部分と おなじく、名文と 讃えられている
最終章の 終わりの文章です。
原書:p.180 5行目あたりから
村上春樹版:p.324中ほどから
ニックは、自分の故郷、中西部へ帰る前の夜、
ギャツビー邸 を歩いてみました。
ギャツビー邸から 海峡を眺め 月明かりの中、
ニックは、アメリカ大陸に ヨーロッパからの最初の移民を連れてきた
メイフラワー号を 想いました。
長い過酷な船旅に耐えた 移民たちの目に最初に映った
フレッシュで グリーンな 新世界!
移民たちの 驚嘆 Wonder は どんだったろう! とニックは思いを馳せます。
同時にニックは、
ギャツビーの
成り上がるまでの 大金持ちになるまでの それがたとえ非道なものであったとしても
長く過酷だっただろう 道程を経て ギャツビーの目に最初に映った
グリーン色のライト、デイジーのいる場所の目印のように輝く グリーン!
それを 初めて目にした ギャツビー の Wonder 驚嘆は どんなだっただろう! とニックは思いを馳せます。
日本語訳だと、
「移民の目に映ったグリーン」と「ギャツビーが見たグリーン・ライト」が
対になっているのが わかりにくいですが、原書だとすぐに わかります。
社会階層、宗教など様々な縛りごとのあるヨーロッパ大陸から、
理想や希望 アメリカン・ドリームを 抱いて 新大陸アメリカへ 来た 移民たち。
移民たちの 目指したのは フレッシュなグリーンの新世界アメリカ。
貧乏なジェームズ・ギャッツを捨て、アメリカン・ドリームを体現した
ジェイ・ギャツビー が目指してきたのは、
グリーン・ライトが輝くところにいる 愛するデイジー。
I became aware of the old island here that flowered once for Dutch sailoes' eyes---
a fresh, green breast of the new world.
Its vanished trees, the trees that had made way for Gatsby's house,
had once pandered in whispers to the last and greatest of all human dreams;
for a transitory enchanted moment man must have held his breath in the
presence of this continent, compelled into an aesthetic contemplation
he nither understood nor desired, face to face for the last time in history
with something commensurate to his capacity for wonder.
And as I sat there brooding on the old, unknown world,
I thought of Gatsby's wonder when he first picked out the green lightat the end of Daisy's dock. He had come a long way to this blue lawn,
and his dream must have seemed so close ・・・・・