(75)ギャツビーとフクロウ眼鏡男の謎
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- 前回から続く-----
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ニックのほかに、もうひとり ギャツビーに真実があると気づいていたのは
フクロウ眼鏡男だけでした。
だから、ギャツビーのお葬式は、肉親のギャツビーの父親以外では、
ギャツビーの真実を知る ニックと、
ギャツビーに何かしら真実を認めていた フクロウ眼鏡男だけが 参列したのでした。
わたしが勝手に想像するのは、
もしかして、作者のフィッツジェラルドが、「グレート・ギャツビー」の原稿の
第1稿を書きあげたとき、第1稿には、「フクロウ眼鏡男」は、居なかったのではないかと
勝手に思っています。
第1稿を書きあげたフィッツジェラルドは、自分で書いたにもかかわらず、
結末の ギャツビーが あまりにも 可哀そうすぎて、
それで、ギャツビーの心を知る人物を ニック以外に もう一人増やしてあげることに
したのじゃないかと 思います。
何かしらギャツビーに心や真実があるということを知る登場人物として、
「フクロウ眼鏡男」を 新たに創り 第2稿目から登場させたのではないでしょうか。
「フクロウ眼鏡男」は、フィッツジェラルドが創り出した あまりにも可哀そうな
しかも自分に似たキャラクター、ギャツビーへの、
作者フィッツジェラルドからの プレゼント なのではないでしょうか.
それと、原書:p.46 最初のあたり
村上春樹版:p.89 2〜4行目
本棚から本を一冊取り出したフクロウ眼鏡男が、あわてて本を書棚に戻すときに、
こうつぶやきます。
「一冊でも取り外すと、ブロックが一個外れて建物が崩壊するみたいに
図書室が崩壊しかねないからな」
何か、結末の 崩壊したギャツビーを 予感させる一言です。